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エラーコード「E1-1.0」太陽光とパワコンの小さなすれ違い

2025.11.12 お役立ちコラム

太陽光発電のある暮らしは、静かな安心の上に成り立っている。
屋根の上のパネルも、壁際に佇むパワーコンディショナも、
こちらが意識しないところで淡々と働き続けている。

家族がまだ眠っている早朝、
家の中の空気がゆっくり動き始めるような時間帯に、
彼らだけはもう活動している。
太陽が薄く差し込む瞬間に目覚め、
光の強さを読み取り、電気の流れを整えてくれる。

その日も、いつもと同じはずだった。

けれど、その朝。
ふと画面を見ると、見慣れない表情が浮かんでいた。

「E1-1.0」

胸の奥が小さく跳ねる。
太陽光なんていつも“動いていて当たり前”だと思っているくせに、
こんなときだけ急に存在感を増す。

「E1って直流側だったよな…?」
「1.0って、どういうこと?」

普段は何も言わないパワコンが、
まるで喉をひとつ鳴らして「ちょっと聞いてほしい」と
合図しているように思える。

機械なのに、どうしてこんなに“気配”を感じさせるのだろう。

ここからは、取説には載らないけれど、
暮らしの視点で読める E1-1.0 の物語 を語っていきましょう。

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■ E1-1.0 は何を伝えようとしているのか

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E1-1.0 は、ざっくり言えば
「太陽光パネル側の異常(カテゴリE1)」の中でも
“電流のバランスが崩れた可能性がある” サイン。

もっと生活者の言葉に置き換えるなら、

パネルから届く電気の流れが、いつものリズムと違う。
だからパワコンは安全のために一度立ち止まった。

これに尽きる。

E1-0.0 が「変な電圧だよ」なら、
E1-1.0 は「電流の流れ方がいつもと違うよ」に近い。

どちらもパワコンの“慎重さ”がよく出たエラーで、
“壊れそう”ではなく “壊れないように止まった” と理解するのが正しい。

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■ E1-1.0 の裏側で起きている可能性たち

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E1系のエラーは、原因がひとつに決まっているようでいて、
実は小さなすれ違いが積み重なって起きることが多い。

生活者視点で見える“背景”を整理してみる。

● 1)パネルの一部が“がんばりすぎている”

太陽光パネルは何枚も並んで一組のチームとして働いている。
けれど時々、その中の一枚だけが
いつもより強く出力してしまうことがある。

・濡れていたパネルが急に乾いた
・影が一部だけ取れた瞬間
・強い反射光が当たった

そんな小さな条件の変化だけでバランスが崩れ、
パワコンは「ちょっとこの流れ方は危ない」と判断します。

電気の世界は、人間よりもずっと繊細なのです。

● 2)配線のどこかでズレが起きている

屋根からパワコンへと続く配線は、
思っている以上に“野ざらしの人生”を送っている。

・気温差で金属が伸び縮みする
・端子が少し緩む
・湿気で接触が不安定になる
・虫が入り込む

たった1ミリのズレでも電流の流れ方は変わるのです!
パワコンはその違和感を逃さない。

● 3)パネルの“疲れ”や“部分影(ホットスポット)”

年数が経てばパネルも少しずつ個性を出す。
その個性が時に、パワコンからすれば不規則な電流に見える。

・セルの劣化
・影の出方が変わった
・汚れや落ち葉、鳥のフン

これらが積み重なると電流のリズムが乱れ、E1-1.0となる。

● 4)外部の環境による“一瞬の乱れ”

特に多い原因がこれです。

・雷
・瞬間停電
・近所の大きな機器の起動
・強風や雲の高速移動

一瞬の変動でも、パワコンは自分を守るために止まる。
その律儀さが E1-1.0 に姿を変える。

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■ E1-1.0 が出たとき、どう向き合う?

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大事なのは、
慌てても状況は良くならない ということ。

だから、できることを順番に。

✅ 1)パワコンの電源を入れ直す

・主電源をオフ
→ 1〜2分待つ
→ オン

これだけで治ることは意外なほど多い。
機械にとっての“深呼吸”のようです。

✅ 2)周囲の環境を見てみる

・熱くなりすぎていないか
・通気口はふさがれていないか
・昨日雷は鳴らなかったか
・屋根の上に枝やゴミは落ちていないか

太陽光とパワコンは、外の世界の影響を受けやすいです。

✅ 3)繰り返すようなら、必ず相談

E1-1.0 が毎日出る、
特定の天気の日だけ出る、
または頻度が増えている。

こうした“再現性のある異常”は
内部の劣化やパネル側の問題 の可能性が高い。

無理に動かし続けるのは、
人間で言えば「熱があるのに走り続ける」のと同じ。

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■ E1-1.0 を放置するとどうなる?

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結論を先に言えば、
放置は絶対におすすめできません。

・発電が止まる
・売電が止まる
・蓄電池に電気が溜まらない
・内部の負荷が増える

特に危ないのは、
「昨日まで動いていたのに突然止まる」
という状態。

これは、小さな異変の積み重ねが限界に達した時に起きる。

E1-1.0 は
“その前に出てくれている、ありがたいサイン”
なのです。

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■ 最後に:E1-1.0 は壊れた知らせではなく、“相談の声”

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エラー表示というのは、生活者の心をざわつかせる。
けれど E1-1.0 の多くは、
パワコンが壊れかけているわけではなく、

「このまま電気を受け取ると危ないかもしれないから
いったん止まっておいたよ」

という、誠実すぎるほど誠実な判断だ。

人間なら多少無理をしてしまう時もあります。
でも機械は正直です。
違和感を抱いたら迷わず止まり、
その理由を短い符号に込めて知らせてくれるのです。

E1-1.0 が出た朝は、
パワコンがあなたに話しかけている日。

慌てず、耳を澄ませてみてください。
そこにはきっと
長年黙って働いてきた静かな相棒の
やさしい“呼びかけ”があります。


※太陽光や蓄電池に関して、セットではなく単独での工事も可能でございますので、お気軽にお問い合わせくださいませ。

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