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お役立ちコラム
ハンファH・Fシリーズ点検コード110・111の原因と対策
太陽光発電と蓄電システムを組み合わせたスマートホームの普及が進む中、システムの安定稼働を支える「太陽光パワコン」の役割はますます重要になっています。世界的なエネルギーソリューションプロバイダーであるハンファ(ハンファQセルズ)の製品、特にハイブリッド型のHシリーズや、単機能蓄電システムとしても活用されるFシリーズは、その高度な電力制御技術と耐久性で多くのユーザーから信頼を得ています。
しかし、精密な電子機器である以上、運用中に「点検コード」が表示され、システムが保護動作のために停止することがあります。中でも「110」および「111」という番号は、インバータ回路の根幹に関わる「過電流」に関連する重要な警告です。本記事では、ハンファのシステムにおいて発生する点検コード110・111の内容、発生原因、そしてユーザーが取るべき具体的な対処法について、解説をお届けします。
1. ハンファH・Fシリーズにおける電力変換と保護の仕組み
まず、なぜ「110」や「111」という点検コードが表示されるのか、その技術的背景を理解しましょう。ハンファのHシリーズやFシリーズの内部には、太陽光パネルや蓄電池からの直流電力を家庭用の交流電力に変換する「インバータ回路」が搭載されています。この回路の中心部には、高速でスイッチングを行うパワー半導体(IGBTなど)が配置されており、ミリ秒単位で電流の流れを制御しています。
この変換プロセスにおいて、設計上の許容範囲を超える大きな電流(過電流)が流れると、半導体素子が異常発熱し、最悪の場合は焼損や火災に至る危険があります。そのため、ハンファの太陽光パワコンには極めて鋭敏な電流センサーが備わっており、異常な電流を察知した瞬間に「110」や「111」といったコードを表示して、回路を物理的に遮断(ゲートブロック)するのです。これは、システムが自身の故障や宅内設備の損傷を未然に防ぐための「究極のブレーキ」と言えます。
2. 点検コード 110・111:過電流異常の具体的な内容
この番号帯のエラーは、一般的に「インバータ過電流」として定義されますが、H・Fシリーズにおいては「系統連系時」か「自立運転時」かによって番号が使い分けられることがあります。
2-1. 点検コード 110(インバータ過電流・連系時)
「110」は、電力会社の電線網と繋がって運転している(連系運転)際に、パワコン内部の出力回路で過電流を検知したときに出るコードです。
・状態: 太陽光発電や蓄電池からの出力が、一瞬だけスパイク状に跳ね上がった際に検知されます。
・影響: システムは即座に停止し、売電や自家消費が中断されます。
2-2. 点検コード 111(自立運転時過電流)
「111」は、停電などによって電力会社からの供給が止まり、蓄電池や太陽光から直接特定の家電に電気を送っている(自立運転)際に、過電流を検知したときに出るコードです。
・状態: 自立運転用コンセントに接続された家電製品の消費電力が、パワコンの供給能力を上回った際に発生します。
・影響: 停電時にもかかわらず、非常用電源の供給がカットされてしまいます。
3. なぜ点検コード110・111が発生するのか?
これらの過電流エラーが発生する背景には、主に以下の3つの要因が考えられます。
① 外部環境の影響(落雷やノイズ)
ハンファの製品は高い耐サージ性能を持ちますが、近隣での落雷による誘導雷(サージ電圧)が電線を伝って侵入した場合、一瞬だけ大きな電流が回路を走り、110を誘発することがあります。また、近隣の工場等からの強力な電磁ノイズがセンサーに干渉し、誤検知を引き起こすケースも稀にあります。
② 自立運転時の家電製品の過負荷
111のエラーで最も多い原因は、自立運転中に「突入電流」の大きい家電を使用したことです。例えば、古いタイプの掃除機や冷蔵庫、エアコンなどは、スイッチを入れた瞬間に定格の数倍の電流(始動電流)を必要とします。これが太陽光パワコンの瞬時最大出力を超えると、保護のために111が表示されます。
③ 内部基板の経年劣化や素子の摩耗
10年、15年と運用を続ける中で、回路内のコンデンサが劣化したり、熱ストレスによって基板のハンダ部分に微細な亀裂が入ったりすることがあります。これにより、正常な電流制御ができなくなり、定常運転中に突然110のエラーが出ることがあります。
4. ユーザーができる応急処置:リセットの手順
モニターに110や111の数字が出た場合、まずは落ち着いて以下の「完全放電リセット」を試してください。一時的なノイズや過負荷が原因であれば、この手順で復旧する可能性が非常に高いです。
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家電の切り離し(111の場合): 自立運転用コンセントに繋いでいる家電をすべて抜きます。
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運転停止操作: リモコンパネルからシステムの運転を「停止」にします。
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ブレーカー遮断: 分電盤にある「太陽光発電用」および「蓄電池用」の専用ブレーカーをすべて「オフ」にします。
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完全放電の待機: そのまま20分以上放置してください。内部の大容量コンデンサに溜まった電荷を完全に抜き、制御マイコンを初期化するために不可欠な時間です。
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再投入: ブレーカーを「オン」に戻し、数分待ってから自動で復旧するか確認します。
再起動後に再発しなければ、外部要因による一時的な事象と判断できます。
5. 専門業者による修理と診断のプロセス
再起動をしてもすぐに「110」や「111」が再発する場合、物理的な故障の可能性が高いため、ハンファの認定施工店による点検が必要です。
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絶縁抵抗測定: 蓄電池や太陽光パネルの配線ルートで漏電が起きていないか、測定器で調査します。
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基板・パワーモジュールの交換: 110が頻発する場合、過電流を検知するセンサーや、スイッチングを司る「メイン制御基板」および「パワーモジュール」を交換する修理が行われます。
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ログ解析: システム内部に保存されたエラー発生直前の電流波形を解析し、根本原因(過電圧、温度上昇など)を特定します。
ハンファの製品は長期保証が充実しているため、保証期間内であれば、こうした部品交換も無償で行われるのが一般的です。
6. システムを長持ちさせるための保守アドバイス
過電流系の点検コードを未然に防ぎ、システムを健康に保つためのポイントです。
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自立運転時の電力管理: 停電時に使用する家電をあらかじめ決めておき、合計ワット数がパワコンの自立出力定格(一般に1.5kW〜2.0kW程度)を超えないように注意しましょう。
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排熱環境の維持: パワー半導体は熱に弱く、高温下では電流制御が不安定になります。パワコン周囲の通風を確保し、夏の直射日光が強く当たる場合は日除けを検討してください。
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雷対策(SPD): 分電盤の避雷器(SPD)を定期的に点検し、誘導雷による基板故障のリスクを軽減しましょう。
7. まとめ:エラーコードは「重大事故」を防ぐための対話
「点検コード 110・111」という表示は、ユーザーにとってはもどかしいものですが、これはハンファの太陽光パワコンが、過電流による内部焼損という最悪の事態を防ぐために、自ら「安全な停止」を選択した証拠です。
このコードは、システムがあなたに「回路に大きな負担がかかったため、一度リセットして点検してください」と送っている重要なメッセージです。まずは落ち着いて20分間の再起動を試し、それでも解決しない場合は、表示された番号を施工店へ伝えてください。
ハンファの優れた電力制御技術に支えられたシステムと共に、これからもクリーンで安心な太陽光発電ライフを続けていきましょう。適切な知識を持って接すれば、この機器は長くあなたの家庭のエネルギーを支える頼もしいパートナーであり続けてくれます。
【参考:点検コード110・111のクイックガイド】
| 項目 | 確認・対処内容 |
| 表示の確認 | モニターに「110」または「111」が出ているか。 |
| 負荷の調整 | 自立運転中(111)なら家電をコンセントから抜く。 |
| リセット作業 | ブレーカーをOFFにし、20分放置後にONにする。 |
| 修理の連絡 | 再起動しても直らない場合は、点検コードを控えて施工店へ連絡。 |
※太陽光や蓄電池に関して、セットではなく単独での工事も可能でございますので、お気軽にお問い合わせくださいませ。










