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お役立ちコラム
令和8年度 蓄電池・EV支援概算「約5,100億円」
日本政府は、令和8年度の概算要求において、蓄電池・EV関連20事業に約5,100億円規模の予算を計上しました。これは、国内の脱炭素化や電動化を後押しする重要な政策的決断であり、住宅用・産業用の蓄電池、電気自動車(EV)、それらを支える充電インフラ・系統用電力貯蔵システム(BESS:Battery Energy Storage System)など、多岐にわたる領域が対象となっています。今回は、この概算要求の背景・内容・影響・注意点を、人間味ある語り口で整理してみたいと思います。
■ なぜ「蓄電池・EV」に約5,100億円なのか?
まず、この約5,100億円という大きな数字には背景があります。脱炭素(カーボンニュートラル)を目指す中で、再生可能エネルギー(太陽光・風力など)の導入が急速に拡大しています。そうなると課題となるのが「発電された電力をどう蓄えるか」「電気をどう使うか」です。ここで鍵になるのが蓄電池であり、さらにモビリティ領域ではEVの普及が、化石燃料依存からの脱却に直結しています。政府としては、この分野の設備導入・技術開発・インフラ整備をまとめて大規模に促進しようというわけです。
実際、経済産業省が公表した資料にも、「再生可能エネルギー導入拡大に向けた系統用蓄電池等の電力貯蔵システム導入支援事業:472億円」などの個別項目が明記されています。 経済産業省+2sun-kanezawa.jp+2
ただ、「約5,100億円」という数字は、蓄電池・EV関連の20事業を束ねた全体規模を示すものです。 smarthouse-web.jp
■ この5,100億円、どんな事業に使われる?
具体的には以下のような用途が想定されています。
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住宅用や産業用の蓄電池設備導入支援
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EV購入補助、充電インフラ整備(急速充電器など)
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系統用蓄電池システム(BESS)の導入支援
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次世代蓄電池技術・材料開発のための研究補助
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既存電力網・需要調整・電力マネジメント(V2H、V2G)関連の実証事業
例えば、上記の472億円の「系統用蓄電池等導入支援事業」は、再エネの導入を進めるため“発電だけでなく貯める技術”を後押しするものです。 経済産業省
また、蓄電池関連の補助金一覧ページでも、「令和8年度概算要求(蓄電池関連)」として多くの補助事業が挙がっています。 新電力ネット
■ なぜ今「蓄電池・EV」なのか?
少し俯瞰して考えてみると、「なぜこのタイミングで蓄電池・EVに大規模投資なのか?」という問いが見えてきます。
・再エネの不安定性
太陽光や風力など再エネは「出るときは出る」「出ないときは出ない」という性質があります。そのため、電力貯蔵(蓄電池)がないと需給のバランスが崩れやすくなります。
・EVが“動く蓄電池”になる可能性
EVは単に走るだけでなく、蓄電された電気を家庭や電力網に返せる「動く蓄電池」としての役割も期待されています。つまり、モビリティ+エネルギーという融合領域です。
・技術革新とコスト低下の好循環
蓄電池やEVなどの技術は、ここ数年で飛躍的に進歩し、コストも低下してきています。国としてはこの転換点を逃さず、普及を“加速フェーズ”に持っていきたいのです。
■ “2万人の家庭”視点で見ると?
では、一般の家庭や導入検討者にとって、この5,100億円の意味は何でしょうか?
例えば、「住宅用蓄電池を設置したい」と思っている家庭にとっては、補助金が拡充される可能性が高くなります。つまり、導入コストが下がるチャンスです。
また、EVを検討している人にとっては「充電設備の補助」「V2H/V2Gの実証モデル参加」など、新たなメリットが生まえます。
つまり、この政策的な支援は、導入側(家庭/企業)にとって「自己負担を少なくして、蓄電池・EVを選びやすくする仕組み」を整えようというものだと理解できます。
■ 留意点・注意すべきポイント
ただし、いくつか留意すべきこともあります。
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概算要求は「要求額」であり、必ずしもそのまま予算確定とはなりません。国会審議を経て変更される可能性があります。
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補助金・支援制度には“締切・条件・地域限定”などの制約が付きやすいです。導入検討は早めの情報収集が重要。
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導入後の運用・メンテナンスを怠ると、蓄電池設備やEVの持続可能性が下がります。設備選定や設置環境にも注意が必要です。
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技術進歩や制度変更が早く、数年後には“今の補助内容”とは異なる条件が出る可能性もあります。
■ まとめ:5,100億円の“次の1歩”
約5,100億円という数字は単に大きな金額というだけではありません。これは、再エネ普及・電動化・蓄電化という“新しい社会インフラ”へ向けた国家の意思表明です。
蓄電池・EVというキーワードが、これからの住宅・企業・地域社会の中で当たり前のものになっていくことが、この予算から読み取れます。
可能性の大きなこのタイミングで、技術・制度・市場が3つそろって“変革フェーズ”に入っているのです。
もしあなたが家庭・事業所・地域で「蓄電池を入れたい」「EVを導入したい」「再エネを活用したい」と考えているなら、このタイミングはまさにチャンスかもしれません。
この5,100億円が、あなたの選択を後押ししてくれる“追い風”になることを願っています。









