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長州産業蓄電池「E2 エラーコード」徹底解説

2025.11.12 お役立ちコラム

家庭用蓄電システムは、電気を貯めて使うというシンプルな役割の裏に、きわめて精緻な電力制御の仕組みが存在する。特に、長州産業の蓄電池システムに搭載されているパワーコンディショナ(PCS)は、太陽光・蓄電池・家全体の電力を同時に監視し、瞬間単位で適切な電力配分を行うための頭脳ともいえる。エラーコードの表示は、この頭脳が異常を察知し、システム全体を守るために発する“緊急信号”だ。その中でも E2 系エラーコード は、PCS 内部の重大な異常を示すカテゴリーとして区分されている。

取扱説明書(2020年9月7日版)には、E2 系エラーとして次のコードが記載されている。

  • E2-1.A

  • E2-1.F

  • E2-1.G

  • E2-1.H

  • E2-1.J

  • E2-3.0

  • E2-5.A

これらはいずれも説明が共通しており、マニュアルには簡潔であるが強いメッセージが書かれている。

パワーコンディショナが異常な状態を検出しています。販売店に相談してください。

このわずかな文章の奥には、PCS の高度な自己診断機能と、それが検知する異常がいかに重大であるかが凝縮されている。本記事では、E2 系エラーがどんな意味を持ち、なぜユーザー自身では対処できないのか、そして具体的にどんな行動が必要なのかを深掘りしていく。


■ E2 エラーの根底にある「PCS 異常」とは

PCS の役割は、蓄電池の直流電力を家庭で使える交流電力に変換し、太陽光や電力会社の系統との連携を保ちながら、電力の流れを最適化することにある。これは単純な変換処理ではなく、以下のような高度な制御を常に行っている。

  • 電圧・電流のリアルタイム監視

  • 家中の電力需要の把握

  • 系統電力(電力会社)との同期

  • 太陽光発電との連携制御

  • 蓄電池保護のための充放電管理

  • 安全のための停止判断

この複雑な制御が正常に行われるためには、内部の基板、センサー、リレー、通信経路がすべて正常に動作している必要がある。もし内部のわずかな異常でも、PCS は蓄電池と家を守るために運転を制限し、エラーとして表示する。その“内部異常”に該当するのがE2系だ。


■ なぜ E2 系エラーはユーザー操作で復旧できないのか

E2 エラーが他のエラー(例えば E1 系の系統電圧異常、A1 系の負荷超過など)と異なる点は、改善すべき対象が「外部環境」ではなく、「PCS の内部そのもの」である点にある。

● E1系

→ 系統電圧・周波数など、電力会社側の状態変化が原因
対処:様子見で改善するケース多数

● A系

→ 家の負荷や蓄電池の動作モードなど、外部要因によるもの
対処:負荷調整や設定変更で改善する場合あり

E2系

→ PCS の自己診断が“内部異常”を検出
対処:ユーザーによる改善は不可、販売店・メーカーの判断が必要

つまり、E2 が示すのは次のような状況だ。

  • 内部部品の故障

  • センサーの異常値

  • 通信ラインの不良

  • 過電流・過電圧の内部検出

  • 内部制御基板のエラー

  • 温度制御の異常感知

これらは家庭側で確認できない領域であり、専門的な診断が必要になる。


■ E2 エラーが出たときにやってよいこと

E2 系は基本的にプロ対応が必要だが、連絡前にユーザーが行えるチェック項目がいくつか存在する。

✅ 1. PCS および関連ブレーカの確認

  • 蓄電システム用ブレーカ

  • 太陽光発電用ブレーカ

  • 主幹ブレーカ

いずれかが半落ち(中途半端な位置)になっているとエラーが誘発されることがある。

✅ 2. システムの再起動(施工店の指示がある場合のみ)

ゲートウェイやPCSの電源を一度落とし、正しく立ち上がるか確認する。
ただし、素人判断でブレーカを触るのは危険が伴うため、指示がない場合は行わないほうがよい。

✅ 3. 周囲環境の確認

E3 系が温度異常だが、E2 系にも熱影響が波及する場合がある。
PCS の周囲に物が密集している、通気不良などは改善ポイントとなり得る。


■ 最終的に必要な対応:販売店・施工店への連絡

説明書では E2 系について明確に「販売店に相談してください」と記載されている。これは、E2 エラーが PCS の保護機能や内部回路の問題であり、場合によっては部品交換を要する可能性があるためだ。

販売店に連絡する際は、以下の情報があるとスムーズだ。

  • 発生したエラーコード

  • 発生時刻

  • 何をしている最中に表示されたか

  • 他のエラーコードが同時に出ていないか
    (E1、E3などと併発する場合あり)

  • PCS の状態ランプ(赤点灯/赤点滅など)

これらは技術者が状況を判断するための“症状の手がかり”になる。


■ E2 系を放置するとどうなるか

E2 エラーは“内部異常”を示すため、放置すると次のリスクがある。

  • 蓄電池の充放電が停止

  • 太陽光発電の連携が停止

  • 系統連系が遮断される

  • 蓄電池の保護機能が作動し、残量が使えなくなる

  • PCS の故障が悪化する可能性

家庭のエネルギーシステムが停止し、停電時のバックアップ機能も失われるため、見過ごすべきエラーではない。


■ まとめ:E2 エラーは蓄電池システムからの「緊急サイン」

E2 系エラーコードは、長州産業の蓄電池システムが備える高度な自己診断の中でも、特にPCS の内部異常という重大な領域を示すものである。
取扱説明書の通り、ユーザー側で対処できる範囲を大きく超えており、家庭の安全・蓄電池の保護の観点からも、早急な専門家の対応が必要だ。

  • E2 系は PCS 内部の異常

  • ユーザー自身での復旧は原則不可能

  • 放置すると発電・蓄電の停止につながる

  • 必ず販売店または施工店へ連絡すべき

蓄電システムは家庭の電力ライフラインを支える重要な設備である。E2 エラーは、その心臓部からの「助けを求めるサイン」と捉え、適切な対応を取ることが安全で長期的な利用につながる。


※太陽光や蓄電池に関して、セットではなく単独での工事も可能でございますので、お気軽にお問い合わせくださいませ。

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